結社誌『青草2号』から

秋深し隣の明りふつと消え   吉田良銈

ほどほどで止めると決めて煤払

手袋を口にくはへて小銭出す


青草2号の芳草集巻頭の良銈さんの俳句である。

私が感銘を深くするのは何の気負いもなくその時々の生活の一部を呟く如くに切り取られていることである。
手練れ俳句の「俳句作りました、さあどうだ!」という気負いを微塵も読者に感じさせない凄味であり、手練れ俳句が打ちのめされる一句一句である。
俳句に真摯に向き合っている俳人に「手練れ」という言葉はあまり好きではないが、良銈さんの俳句に向き合うとき、自分の俳句には爽やかな風が吹かないことを思い知らされるのである。俳句上達のコツは多作だと教えられ励んでいる内にいつの間にか新鮮さのない手練れのぷんぷん匂う作風になっていたことに気付かされました。
俳句道は何年経っても、次から次と壁が立ちはだかるといいます。その事を思い知らされた良銈さんの俳句でした。


by haikutarou | 2017-08-27 10:26 | たかが俳句されど俳句