山本健吉の現代俳句(その2)

有る程の菊抛(な)げ入れよ棺の中   夏目漱石

 著者によると、対象の故人とは大塚楠緖子『お百度詣』の作者であり、漱石の意中の人であったという。漱石はその前に胃潰瘍で一時、人事不省となる危篤状態を宣言されたほどの大病を煩ってをり、死について敏感な時期の知人の死に高揚したのであろうとの解説である。
 漱石は小説『三四郎』にしても、『坊ちゃん』して男女の恋愛感情は読んでいて物足りない思いがするくらいに淡泊である。実生活においても精々俳句で自分の思いを表現する程度の淡泊さだったのかも知れない。


俳人たちの名句の裏側を覗いて見たいと思って、山本健吉の現代俳句を読んでいる)


by haikutarou | 2017-09-11 08:53 | 名句鑑賞