草深昌子句集「金剛」を読む(その1)

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私のグログ「山麓」が空中分解してネットの藻屑と散ってしまいました。
その山麓に連載中だった「草深昌子句集「金剛」を読む」も中断していましたが先生からも継続して欲しいとの要望もありどこで続くか判りませんがここに改めて連載をすることとしました。
なにしろ先生の俳句は徹底した写生で無駄な言葉は一切使わないという読み解きの難しい作品ばかりで大変なのですがこれも鍛錬です。少しばかり残っているメモと記憶にある前作何編かの再掲から再開していきます。
その前に、草深昌子先生の経歴を簡単に紹介しておきます。

1943年、大阪に生まれる
1977年、飯田龍太主宰「雲母」入会
1985年、原裕主宰「鹿火屋」入会
1993年、第一句集「青葡萄」刊行
2000年、大峯あきら代表「晨」同人参加
     岩淵喜代子代表「ににん」同人参加
2003年、第二句集「邂逅」刊行
2016年、第三句集「金剛」刊行
現代、結社「青草」主宰、カルチャーセンター講師 


海桐の実鳶はきれいな声あげて  草深昌子

 季語は「海桐の実」で晩秋から初冬にかけて、いびつに膨らんだ殻が割れて中に朱色のきれいな実が現れます。朱色の実はねばねばの樹液のようなものを被って少々の事では飛ばされないようにしっかり殻に付いています。それは野鳥に食べてもらい遠くに運ばせる為の秘策のようです。正月前後には朱色の実はきれいに無くなり殻だけが残っています。その海桐の実が弾ける頃は空気は澄みきって、大空はまことに秀麗で一年で天気が一番安定する頃です。
 空には高みに輪を描くように鳶が飛んでいます。鳶も気持ちいいはずです。「ぴーひょろろ」の声がまことにきいれいに聞こえて作者の心に響いたのであろう。
 海桐の朱色の実と重ねあわせるようにして大空を見上げている光景が見えるようで、その気持ちの良さが読者にも響きます。

by haikutarou | 2017-09-13 17:46 | 句集鑑賞