山本健吉の現代俳句(その11)


   青梅の臀うつくしくそろいひけり   室生犀星
 
 「犀星は詩人であり、小説家であり、随筆家であって、俳句はそれこそ余技としてたしなんでいるにすぎない。だが彼の俳句は専門俳人にない独特の面白さをもっている。
それは彼の詩や散文をも貫いている特異な感覚が、その素人くさい一見稚拙な表現の中に滲み透っているとことだ。
北陸の物寂びた城下町に育ち、東洋的な枯淡の境地に惹かれる傾向は生得の気質であろう」
「この句は彼の生物画である。『臀うつくしくそろひけり』と言って、青梅の艶々しいなめらかな感触を巧みに描き出している」

   鯛の骨たたみにひろふ夜寒かな   室生犀星
   うすぐもり都のすみれ咲きにけり

 いずれも見逃してしまいそうな小さな景に想像力たくましく写生俳句だと思う。
文筆家としてお互いに影響しあったであろう、芥川龍之介の俳句との質感の違いは著者山本健吉の解説どうりだと思う。

by haikutarou | 2017-10-19 11:27 | 名句鑑賞