赤頭巾

山下るピアスの人の赤頭巾
笹鳴のぴたりと止んで雨戸繰る
凩や軒を灯して民話館
歳晩や両手にすくふ駄句の山

多分今回が今年最後の更新になりそうです。
年末年始は伊豆の妹宅に籠り、少し俳句も忘れて脳の活性化します。
だから今の内に台所の大掃除しなくては、普段汚し放しですから大変ですが2,3日頑張ります。
換気ダストもそろそろ危険な状態かも、です。
「煤逃げ」という季語ありますが、ひとり居では逃げていては何も進みません。

このブログはこの秋からの投稿ですが、今日までのご愛読有り難うございました。
2018年も相変わらずのご愛読よろしくお願いします。

a0376672_22365115.jpg



by haikutarou | 2017-12-23 23:16 | 「西瓜の種」(自作句集)

風花

風花や貴婦人走る津和野路に
林の中の裸婦像笑みしまま
ハンガーの移り香乱れ室の花
思はずも冬至粥なり夕厨

私が親元を離れて親父の田舎で祖父と暮らし始めたのは小学校入学を来年にひかえた時だった。当時祖父の家には高校生の叔母いた。思わずも弟分が出来て興味津々だったのであろう、ずいぶんと可愛がってもらった。木登りや海での泳ぎは出来ないと子供なりに生きていけない世界だった。
今でも柿好きの私の事を覚えていて、自分で取ったものだ送ってくる。ある年の帰省の際に、山口線の蒸気機関車に乗りに行こうという話しになって、急遽出かけたが蒸気機関車は休日の一日一往復だという事も知らずに結局「C57」の貴婦人には乗り損なったが普通電車で行った津和野では駅前で自転車を借りて二人でサイクリングした。何だか青春のような風が吹いていた記憶がある。当時は70歳は越えていたと思うが、今でも元気な姉のような叔母である。

a0376672_11290657.jpg



by haikutarou | 2017-12-21 11:42 | 「西瓜の種」(自作句集)

アロエ咲く

ちりちりと明ける野面の霜囲
風花や土塀の続く姉の町
一族の揃ひ杵打つからみ餅
親父似と言はれし里に落葉焚
花アロエ沖に鳥鳴く爪木崎

この季節、南伊豆を歩くとアロエの花が盛りで青い太平洋とのアロエの紅との取り合わせが印象的です。
花アロエの句は当然の如く冬の季語として詠んだものですが、主宰よりアロエは季語ではないと思うから調べるように指摘されました。
確かに『角川大歳時記』にはアロエの文字はなく、私の思いは「え、なぜ」でした。
アロエはアフリカ原産ですが、我が国では200年前位から関東以西の太平洋岸には自生していたとう説もあり、薬用としての効果で有名になったのは昭和の終わり頃だったでしょうか。またアメリカでは恐竜の時代に大繁殖してた生き残りを裏付ける化石も発見されているようです。
いずれにしても、歳時記の季語と現在の季節感、既に死語となっている項目、新たな項目の取扱等々、一様には解決出来ない難しい問題が山積しているのが現実のようです。
大きい結社では自分たちの使う歳時記を作成しているようで、ある結社の歳時記には冬の季語として「アロエの花」は掲載されていました。

a0376672_18575379.jpg





by haikutarou | 2017-12-19 20:09 | 「西瓜の種」(自作句集)

ふと割れば津軽溢るる冬林檎   天童光宏
狐火を信じる婆の長寿かな    中村榮一
皇帝といふ名で冬も咲くダリア  多田蒼生
息白く星の幾何学讃へけり    山口 彰
冬日向蠅も時には友となり    青柳 悠
綿虫に息吹きかけて別れけり   芹沢由美
狸汁喰うたる我を犬が嗅ぐ    三方 元
眩しさの落葉の街へ退院す    高瀬竟二

by haikutarou | 2017-12-18 23:07 | 朝日俳壇

山眠る

山眠る人なき駅に人を待つ

短日のとにかく歩きはじめやう

人来るや隙間ちぢめる浮寝鳥

彼の人の落書き見ゐる冬の夜

山眠るの季語は中国の古書『臥遊録』からの出典のようです。
臥遊とは自然の中に遊ぶことで、昔、宗丙宗丙という画家が居所の壁にかつて歩いた山水を描いて楽しんだいう古事から来ています。
春山鍛冶(たんや)にして笑うが如く
夏山蒼翠(そうすい)として滴たるが如く
秋山明浄(めいじょう)にして粧うが如く
冬山惨憺(さんたん)として眠るが如し 
とは、大体のことはしっていましたが詳しくは初めて知りました。

a0376672_14460412.jpg





by haikutarou | 2017-12-17 15:15 | 「西瓜の種」(自作句集)

冬ざれ

冬ざれの浦に大屋根鯨塚

番犬の振り向きもせず冬珊瑚

豆を炊く厨灯りや寒波来る

よくもまあ佳作止まりの年の暮

わが郷土の詩人金子みすゞの詩に「鯨捕り」があります。
その一部を抜粋します。

〈ーむかしむかしの鯨捕り
ここのこの海、静津が浦
海は荒海、時は冬、風に狂うは雪の花
雪と飛び交う銛の縄。
岩も礫もむささきの、常は水さえむらさきの
岸さえ朱に染むというー〉

お祖父さんの炉話に目をきらきら輝かせながら聞いていたであろう
少女の姿が思われます。

(写真は「ツルウメモドキ」)
a0376672_17535452.jpg






by haikutarou | 2017-12-16 18:28 | 「西瓜の種」(自作句集)

花八手

垣根まで来ては飛び去る冬の鵯

窓開いて顔出す人や八手の花

冬菊や障子越しなり日のひかり

初氷壺中の空を封じけり

我が家にも障子戸の部屋が一間あり、そこを寝室に使っている。大体、晩秋から早春の間は正面から日の出が始まり、五階なので何も遮る物のない、障子越しの光は柔らかくて暖かで至福の目覚めとなる。
会社勤めの頃は夜明け前に家を出ていたから、今から思うとなんと勿体ないことをしたものだが、その至福の時には家族はばらばらで一人住まいなってしまった。
人生とは何とも皮肉なものである。

a0376672_22024022.jpg


by haikutarou | 2017-12-15 13:00 | 「西瓜の種」(自作句集)

丹沢三の塔

散る紅葉水満々に山上湖

山小屋のわきの一株冬蕨

山下り葱葱買ふ無人販売所

三叉路の角の碑実万両

若い頃は丹沢山塊の中でも人気の塔の岳を中心によく歩いた。夏は北アルプス、冬は丹沢というのが私のパターンだった。丹沢縦走の魅力は何といっても富士山展望で富士山がすっきり見える日は足も軽く気持ちよく歩けたものだ。
現在は大倉登山口から三の塔に登り、富士山を見て、弁当食べて下るという軽いメニューだが、それでも山歩きは楽しい。

a0376672_22021247.jpg


by haikutarou | 2017-12-13 11:09 | 「西瓜の種」(自作句集)

放射冷却

枯菊のひと括りされ風鳴らす

山間の放射冷却村凍る

沼涸れて土手に残りし獣臭

野に遊び野生みがくや漱石忌

以前、小田原と足柄の境界辺りの山間のアパートの一階に住んで居たときのことです。昼間の快晴から夜間、風もなく冷え込むとき、放射冷却現象で霜が凍り付き一面が真白な雪の朝のように音も消えます。でも微かにちりちりというような霜が凍る音が聞こえます。そんな時は飛び起きて身支度をして外に飛び出します。高台にでて村を見下ろすとまさに一村が凍りついた景観です。冷凍庫から食品だした時のような状態で降雪とはちょっと違います。
そして、日の出が始まり、霜とけ出すと一斉にキラキラと輝いて幻想の世界です。
現在は五階に住んでいますが、あの大地からの響きを聴き取るような感覚は無味になりあました。これは、俳句をたしなむ者には致命的ではないかと思ったりしています。

a0376672_09172916.jpg


by haikutarou | 2017-12-12 10:17 | 「西瓜の種」(自作句集)

凩やあなたが眠るまで歌ふ    寺崎久美子

光るものすべて星なり山眠る   田村英一

裸木に孤独の力ありにけり    大木 瞳

大阿蘇の力をここに冬泉     坂田美代子

音立てて少年の日の霜柱     竹内宗一郎

生卵呑んで大将冬ごもり     山口和男

一日の詰まった鞄暮早し     松村史基

小春日の知らない町を歩きけり  青野迦葉

by haikutarou | 2017-12-11 13:52 | 朝日俳壇