立春や兜太の選を待つ朝     祖田敞至
春の水語らひながら流れゆく   藤岡初尾
風となり光となりて風花す    徳永スキ子
ひと雨がひと色を載す野の二月  堀江信彦
初音聞く元気な耳の頃をふと   西澤与志子
息白く牛飼牛にものを言ふ    坂田美代子
春愁の少年シャドーボクシング  奥村英忠
町並の暮し掘り出す深雪晴    本谷眞治郎
一握に百の命の種を蒔く     田島もり
白鳥をしろがねに変へ湖光る   中村襄介

この度の金子兜太先生ご逝去の悲報に接し謹んでお悔やみ申し上げます。

by haikutarou | 2018-02-28 12:09 | 朝日俳壇

目白

べた凪の湖に輪をかく蜆舟
湖尻には蜆舟待つ媼ゐて
淋しさのふとこみ上げる目白かな
啓蟄や母の遺品の虫眼鏡

 私の少年時代は野鳥の目白はよき遊び相手でした。目白の好きな椿の花咲く枝に鳥黐(とりもち)をぬって目白が止まるのを待つのです。捕獲した目白の中から鳴き声の優れたものを宝もののように大事に育てます。
そうして友達の自慢の目白と鳴き合わせといって、縄張り争いをさせるのです。鳴き負けて鳴かなくなった方がまけです。大相撲の番付表みたいなものを作って横綱を目指したものです。強くなれば名前も付けていたと思います。
 少しでもよく鳴くように学校に行く前に餌作りにも励みました。餌も籠も全て自分作っていましたら、今思えばよく頑張ったものだと思います。

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by haikutarou | 2018-02-26 14:36 | 「西瓜の種」(自作句集)

(3月号)
佳作 極月のこむら返しに身を反らし
 選者 古賀雪江 田島和生(敬称略)

(2月号)
佳作 山茶花や靴の片減り父に似て
 選者 大串 章  角川春樹  佐藤麻績 山尾玉藻(敬称略)

毎月の入選(佳作以上)の継続を目標にしていますが、2月3月と首の皮一枚で繋がっています。頑張らないと途切れてしまいそうですが何を頑張ればいいのか判らないところが俳句の難しさですかね。
 (「トーナメント」「兼題」「雑詠」の課題に7句投句しています)


(クロッカス)
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by haikutarou | 2018-02-24 11:37 | 雑誌『俳句界』入選作

春泥(しゅんでい)

君が手を離してしまふ春の泥
春寒や兎転げる下り坂
腰掛くる城の石垣水温む
側溝の荒れて転がる蜷の恋

 北の地方の雪解けが「春泥」の代表的な風景ですが、この時期の大山山頂付近の登山道でも体験出来ます。霜で一面真っ白になった登山道を人歩き、正午近くになり気温が上がってくると霜が解けはじめ、登山者の靴が混ぜ返した土は、どろどろ、びしゃびしゃで靴もどろんこになりそれはもう大変です。そのどろどろになった土が夜には再びコチコチに凍ります。その繰り返しが4月頃まで続きます。
 昨今は「山ガール」による登山ブームだそうで、修験者の信仰登山もすっかり垢抜けして明るくなりました。「こんにちは」の若い女性の山挨拶いいですよね、疲れも吹っ飛びます。

(白梅)
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by haikutarou | 2018-02-24 00:08 | 「西瓜の種」(自作句集)

鳥帰る

春風に人来て無沙汰わびにけり
早春や肩並べゆくジョガーたち
和菓子屋の棚の彩り春の暮
水門は鴨のたまり場鳥帰る

 私の冬場のフレンドは水鳥たちです。この先は「鳥帰る」という季語の如くに北国に帰えるために少しずつ数が減っていき私にとって寂しい季節となります。
 私の暮らす地域では最も数の多い水鳥は鴨ですが、その鴨がこの時期になると一カ所に集まり始めます。その様子はワイワイガヤガヤと旅立ち前のミーテングをしているようで一度だけ150羽位の集団を確認しました。それは今にも旅立ちの予感をしましたが2日後に再び訪れるともはやもぬけの空でした。その後も、一度旅立ちの瞬間に立ち合いたと思いながらもその機会に巡り合えません。

(酒匂川小田原貯水口付近)
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by haikutarou | 2018-02-21 12:47 | 「西瓜の種」(自作句集)

島国の湖に島あり霞立つ      深田清志
皆既月食砂を吐く寒蜆       加藤 宙
美しく消ゆるは難し雪残る     徳竹邦夫
臘梅を月の滴と思ひけり      和田大義
帰りゆく子の背を追ひし春の雪   村瀬みさを
校門に五人の写真島の春      中山いつき
煮大根何度も本音聞き返す     小林たけし
枯れゆくか腐りゆくのか日向ぼこ  馬目 空
浮世絵のごとき蓑笠白魚汲む    中山いつき

(馬酔木の花)
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by haikutarou | 2018-02-20 17:29 | 朝日俳壇

満開の金縷梅

牧開くまずは子山羊の飛び込めり
振り向けばこちら見ている蝮蛇草
頼朝も越へし峠の辛夷かな
サイホンに映る遠嶺や春浅し

 昨夜の小平奈緒選手の金メダルは感動でした。瞬発力を最も必要とするスピードスケートで31歳という年齢の壁を打ち破っての笑顔の裏側にはどのような過酷な練習があったのかを思うと目頭がじわじわと熱くなってきました。今回の快挙は年齢の壁に挑んでいる多くのアスリート達に大きな希望を与えたことでしょう。それは年齢という限界の前にうじうじとしている高齢者にも同じです。希望を失わず目標を持ち日々を暮らせばまだまだ夢の実現はできるという大きな力を貰った気がします。
 表彰式でのライバルの季相花選手との友情も感動でした。戦いが終われば抱き合ってお互い健闘を心から称え合う素晴らしい光景でした。

(満開の金縷梅(まんさく)
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by haikutarou | 2018-02-19 09:47 | 「西瓜の種」(自作句集)

早春

黒土を葉つぱに被り雪割草
白梅に仏間の障子かげりけり
春風や路地にやんちゃの声のする
椀の中目玉飛び出す目張かな

 今年も早春の輝くような光の中を元気に歩いていることが嬉しいのです。「立春」の声を聞くと、どきどきしながらカメラをもって野外に飛び出すのが若い頃からの私の習性でした。さすがにあの頃のようなどきどき感はなくなりましたが、やはり早春の風の音を聞き、花の香りにはときめきながら俳句を詠んでいると、まだまだ長生き出来そうな気がします。
 最近は遠出をすることもなくなりましたが、伊豆半島の海岸線を歩きながら春を探すことにはまっています。


(早秋の城ヶ崎海岸)
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by haikutarou | 2018-02-16 12:44 | 「西瓜の種」(自作句集)

日永

寒旱鯉の尾鰭のうごめきぬ
谷戸の川大きく曲り雪割草
春雪ののこり金縷梅落ちにけり
綿菓子のやうな雲ゆく日永かな

昨日はぶらぶらと歩きながら鳶尾団地まで行きました。毛利台から鳶尾団地まで行くには川を三本渡ります。まず自宅近くの恩曽川に出て小鮎川に渡り飯山に、さらに荻野川とぶらぶら歩いて3時間でした。
立春を過ぎたとはいえ河川風景は荒涼たる枯野です。でも林に入れば臘梅がそろそろ咲き終わり、金縷梅(まんさく)咲き始めています。そして追いかけるようにして山茱萸(さんしゅゆ)や土佐水木が咲き始めれば桜もすぐに咲き出します。

(どこから見ても美しい大山の雄姿です)
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by haikutarou | 2018-02-13 09:09 | 「西瓜の種」(自作句集)

着ぶくれて吾が身一つを守りけり  辻美彌子
慟哭の果てに横たふ海鼠かな    吉村 繁
除雪車の大きな音の来てくれし   石田わたる
天空をあまねく統べる寒の月    涌羅由美
風花の中ゆくわれも風となり    坂田美代子
大海の雄叫び浪の花と化す     田中由紀子
無住寺の中に消えたり雪女郎    岩見陸二
さよならの言葉のままに凍てにけり 直井照男
秩父には狼・兜太山笑ふ      北野妙子

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by haikutarou | 2018-02-12 21:49 | 朝日俳壇